Tシャツに英字が書いてある物を着るとどうなるか
近年、外国からの旅行客が増えているというニュースをよく目にする。
実際に外国の人を見ることが多いが、いつも思うことは同じだ。
欧米人、いつもTシャツで、寒くないの?
そのTシャツに書いてある日本語の意味わかってる?
欧米人が年中半袖、ビーサンなのはもはや全世界共通認識だと思うが、問題なのは、Tシャツに書かれたへんちくりんな日本語だ。
「クソくらえ!」「田中です」「悪餓鬼です」
こんな日本語のTシャツを着て堂々と日本を闊歩している欧米人を見ると、なんともいえない複雑な気持ちになる。
しかし、これは日本人にも言えることだ。いや、むしろ日本人のほうが、オシャレという名のもとに、英字がプリントしてある服を大量に購入しているのではないか。
それぐらい子どもから大人まで、英字プリントの服を着ている人をよく見かける。
この英字プリントの服について、私には思い出がある。
最初に英字プリントについて意識したのは、センター試験だった。
それまでは、私も何も気にせず、普通に英字プリントの服を着ていたと思う。
しかし、センター試験で事件が起こった。
問題用紙が配られ、これから試験が始まる、という緊張感の中、突然、
「そこの男性!その英語が書いてある服を着ている人!今すぐ服を脱ぐか、裏返して着てください!」
と試験官が言い出したのだ。
え?マジで今?脱がせるの?!と思ってその男性をチラっと見ると、とても恥ずかしそうにその服を裏返して着直していた。
何の意味の英字だったか覚えていもいないが、
「そんなことでカンニング扱いされて可哀想に。あの英字Tシャツぐらいで試験の足しにはならないだろう。それよりも、試験の直前にこの大衆の面前で公開着替えをさせられた彼の羞恥心と動揺は試験に大きく影響するだろう」
と思ったことは覚えている。しかも、彼は私の視界に入る席だったため、試験中ふと顔を上げると彼の裏返しの服が目について、笑いたい気持ちをこらえた。
きっと私と同じ気持ちだった人は他にもいただろう。
試験官に人に言いたい。入室する時にそういうことは言ってよ!
そして私服で試験を受ける人に言いたい。絶対無地の服を着ていくべし!
その後、大学に入学してからも、英字プリントは友人と度々話題になった。
ある日、学食で友人たちとランチしてたところ、見たことのある男性通った。
あの人同じ学部だよね?名前なんだっけ?などと話していた時、友人の一人が
「モッシモ」で言いんじゃない?
と突然言いだしたのだ。
「モッシモ?」なにそれ~笑 と言った直後、その理由がすぐにわかった。
彼のTシャツ全面に、おっきな文字で、
MOSSIMO
と書いてあるではないか!!
もうこれは僕をモッシモと呼んでくれ!と言わんばかりの主張だった。
その日から4年間、彼は私たちの中で「モッシモ」と言われ続けた。
学部は同じでも学科が違う彼とは直接話をすることもなく、どこかで見かければ「あ!モッシモだ」と内輪で言う。ただ、それだけの関係だった。
結局、彼の本当の名前を知ることはなかった。
このような出来事があったため、当然私は英字プリントの服を一着も持っいない。
きっと今後も買うことはないだろう。