不妊治療中の心の闇③
続きです。
彼女からのオメデタ報告に対して、私はありきたりな大人の対応で返事をした。さらに仕事でのフォローもするから、何でも言って、体を大事にね、と良い人を演じた。
実は、その日彼女からLINEが来た時に、嫌な予感がしたのだ。
自分が不妊かも、と思っている時って、他人の妊娠状況もやたらと気になってしまうのだ。
彼女も結婚してそろそろ子どもができるだろう。でも、仕事中、特に変わった様子はないし、まだなのかな、と思っていた。
私から見ると結婚から妊娠まで順調そのものの彼女だが、本人はなかなか妊娠しなくて焦った、と言っていた。
その内容を聞いて、私はさらにショックを受けた。
彼女は、基礎体温を測るということすら知らなかったそうだ。
むしろ、生理は毎月決まった日にち(毎月4日!など)に来ると思っていたのだ。何日周期、という考えすら知らなかった。
もともと無知な子だと思っていたが、自分の体の事まで知らないとは。
正直ちょっと引いた。苦笑。
だから、彼女がなかなか妊娠しなかったーという期間は当たり前で、基礎体温を測り始めたら次の月には妊娠したのだ。
すぐ出来てるじゃん!!!
何がなかなか出来なかった、だよ!!
私の不妊の心の闇は、そんな彼女の存在が大きかった。
その後、その彼女は順調に産休に入った。それまで、本当は腰痛持ちで嫌なのに、妊婦の彼女に代わって力仕事を率先してやっていたので、彼女が産休に入ることが、内心嬉しかった。
彼女が妊娠中、焦った私は、子作り解禁して半年以上経っても妊娠する気配がないため、かかりつけの婦人科を受診した。ここは不妊治療専門ではないが、とりあえず相談してみようと思い、受診してみた。
そして、血液検査をしてもらい、プロラクチン値がやや高い、とのことで、カバサールを処方された。
彼女が産休に入ったその月に、私の妊娠が発覚した。カバサールを飲み始めて翌月ぐらいだった気がする。
やはり彼女がいなくかることでストレスが減ったことが大きいんだなぁと思った。(単にカバサールが効いただけかもしれないが)
そんな嬉しいことがあったが、荒んでいた私は、彼女には妊娠を黙って、お腹が大きくなった頃、連絡をしようと思っていた。私なりの仕返しのつもりだった。あなたは私にいつも大事なことを話してくれないから、私も言わない、と。
そんな意地悪な考えをしていたら、罰が当たった。
妊娠9週目で稽留流産。手術をした。
涙だ止まらなかったが、運良く夫が出張で手術後数日不在だったため、泣きたい時は思い切り泣いて、泣きつくしたため、また次に頑張ろうという気持ちになった。
彼女には妊娠も流産も伝えず、手術から3ヶ月後に、彼女の赤ちゃんに会いに行った。
すっかりお母さんになって、育休中の会社の状況を聞いてくる彼女。
全てを手に入れた彼女を、羨ましく思った。
なんで彼女はこんなに順調で、私は妊娠できないのだろう。
性格がどんどん悪くなり、まわりと比べてしまう自分がとても惨めに思えた。
続きます。